ギークカアチャン

エンジニアとカアチャンの隙間に

本を読むということの楽しさを再認識した件

今まで仕事に関係するもの以外には本というものを全く読まなかったのですが、産後色々思うところあってポツポツ読み始めています。

 

はじめて読む人のローマ史1200年(祥伝社新書)

はじめて読む人のローマ史1200年(祥伝社新書)

 

教養を身に付けたいといきなり思い立って読んでみた本です。古代ローマ史おもしろいね。著者はローマ史の歴史学者なので、特に煽ったりせず、曖昧な箇所は曖昧なまま現実的な仮定と考察を記している本なのですが、それでもドラマティックです。1200年を浅くさらっているだけなので、もっと深く知りたい人はそれぞれ別の本を手に取る必要があります。私は当時の風俗についてもっとよみたいと思いました。

 

アド・アストラ ―スキピオとハンニバル― 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

アド・アストラ ―スキピオとハンニバル― 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

 

 古代ローマを舞台にした壮大な漫画が読みたくて手を出した本。カンナエの戦いでローマ軍を殲滅したハンニバルと、その宿命のライバルである大スキピオとの戦いの物語です。現在も偉大な戦術家として尊敬されている二人が、お互い戦術に知略をつくして戦いあう様がかっこよすぎます。これが実話なのがすごいし紀元前なのがすごい。わくわくします。男の人はこういうの好きなんじゃないのかなあ。現在6巻まで出版されており、まだ完結していません。

 

相手に9割しゃべらせる質問術 (PHP新書)

相手に9割しゃべらせる質問術 (PHP新書)

 

 私は基本的に気の合う人としか交流しないタイプだったのですが、母となっていろんな制約が増えた状態で今のままの交流の仕方だと、世界は拡がらないばかりかどんどん狭くなってくるばかりです。なんとか現状打破したくてこの本を手にとりました。内容は「相手と会う前に事前に調査して地に足がついた興味を持つ」「相手の顔色をちゃんと見て臨機応変に話題を変える」って至極真っ当でした。しかしこの手のハウツー本にありがちですが、実践することのなんと難しいことよ…。空気を吸うように、どんな人でも上手に交流できたらなあ。

 

文・堺雅人 (文春文庫)

文・堺雅人 (文春文庫)

 

 読書を再開したはいいものの久々すぎてあまりにぎこちなさが残っていたので、エッセイなら読みやすいしリハビリになるだろうと思って手に取りました。単なるタレント本かと思いきや、とても文才を感じさせる読みやすくて綺麗な文章でした。こんな文章が書けたら素敵だな…。このエッセイは堺雅人が自身のこだわりを掘り下げていくという内容なのですが、こだわりの着眼点も面白く、著者の感受性の豊かさを感じました。

読了後、あまりにも私服がダサすぎてフライデーされた堺雅人のエピソードを聞いてからは、ちょっと堺雅人が好きになりましたね。

 

外科医 須磨久善 (講談社文庫)

外科医 須磨久善 (講談社文庫)

 

 海堂尊は医者との兼業作家で、医療ミステリーの代表作「チーム・バチスタの栄光」でバチスタ手術という心臓手術の世界的権威の外科医が登場しているのですが、この本はそのモデルとなった実在の外科医「須磨久善」の軌跡を描いたものとなっています。ノンフィクション。いかに世界最高峰の心臓外科医に登りつめたのかが書かれています。

面白かったのが、世界トップレベルになると心臓外科手術もショー的な面を帯びてくるところ。手腕を見に世界各国からトップレベルの医師が集まり、手術室に何台もカメラが入り、実況中継を術中の医師自身が行い、見学の医師の厳しいツッコミにリアルタイムで答えつつも手術を成功させるという…。失敗すると噂は広まり権威が失墜、常に成功が求められる医師人生をかけた手術。厳しい世界。

エンジニアの世界にも似た様なライブコーディング等がありますけど、どちらかというとセミナー方式。事前の準備は万端で本番はなぞるだけ、そして聴衆はみんな尊敬の眼差しで見てるスタイルなので緊迫感が全然違うな。そのうちエンジニア文化も成熟してくれば、ショー的なライブコーディングも広まらないともかぎらないですね。その時が少し楽しみです。しかしちょっとアカギ的だなあw

 

タッチ・ユア・ハート

タッチ・ユア・ハート

 

 この本は上の須磨久善さんが自分で半生を綴っています。厳しい世界で勝ち抜いてきただけあって、とても正しく現実的で、ともすれば非情に感じる部分が目につきました。勝負の世界で勝つということはそういうことなのだなあ。多くの人が徹しきれないわけですが。なので当たり前ですが感情移入とか全くできない本ですw

 唯一の例外は、心臓が一枚の筋肉のベルトでできておりたやすく分解できることを実証しているがスペイン医学界から全く相手にされないパコという医師に会いに行ったところと、近所の小学生を公開手術の見学に誘っているところ。この辺りはわりと自分でも身近な感情が湧きました。

しかし自分にもっとも不足していて参考にすべき箇所は、現実的で非情と思った勝負に勝つメンタルを記述した箇所。直視する必要がありそうです。読書は毒にも薬にもなるので、なるべく薬にしていかないとな。

 

以上、最近読んだ本の感想を小並感漂う文章でまとめてみました。いやあ、読書ってほんっといいもんですね。次はそろそろ小説もよんでみますかね。